コラム

コロナとAIに仕事が失われる未来で、プロゲーマーという就職先は”アリ”なのか。

私は今大学生で、コロナでまだ数えるほどしか大学に通えていませんが、来年3年生になり就職について考えなければならない時期がもうすぐやってきます。

今こうしてeスポーツやゲームについての記事を書く仕事を出来ていることはとても幸せなことなのですが、一度は就職した方が良いのかなと思ったり、続けられるか分からないこの仕事を生業にすることの恐怖もあります。

しかしながら、他の選択肢を選べば安定なのかと言われると、実はそうでもありません。

どんな仕事も「安定」とは言えないこの時代で、職業の正しい選び方、正しい生き方とは一体何なのでしょうか。

考えたことがあるようで、実際真剣に考えることは難しく、出来ていない問題なのではないでしょうか。

今回は、eスポーツで活動を続けている私の視点から、どのような人生の選択が正しいのか。どんな人生を送るべきなのかを考えていきたいと思います。

AIによって無くなる職業、無くならない職業。

英オックスフォード大学のカール・B・フレイ氏とマイケル・A・オズボーン氏により2013年に発表された「雇用の未来:コンピュータ化によって仕事はどのような影響を受けるか?」という論文では、20年後までに人類の仕事の約50%が無くなると論じられていました。

論文の最後には「低いスキルの労働者はコンピュータ化される可能性のない仕事に置き換えられる必要があり、競争に勝つためには創造的・社会的スキルを習得する必要がある」と述べられています。

引用:「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?

最近ではGUやユニクロ、スーパーに行くとセルフレジなるものが導入されていて、これまでにあった仕事が無くなっているのを見たことがあるでしょう。

お父さんお母さん世代の花形職業であった銀行員も無くなると言われていますし、弁護士だって無くなるのではないかと言われていますよね。

特に近年ではコロナの流行もあり、大手企業に就職しても安泰は考えられにくく、いつどのようなタイミングで今ある仕事が無くなるか分からないということが可視化されるようになりました。

このような状況を鑑みて、去年センター試験は廃止され、より創造力や考える力が重要視される入試制度へと政府は方針を変えました。

つまり、従来の日本のような学歴社会も崩壊が近づいているということなのです。

逆に無くならない職業で言えば、「人とのコミュニケーション」を要する仕事は無くならないとされています。

高齢者とのコミュニケーションが必要な介護職だったり、教師、心理カウンセラーなどが例に挙げられています。

その点に関していえば、eスポーツでは「プロゲーマー」は絶対に無くならない職業と言えるでしょう。

 

eスポーツファンはゲームのキャラは好きでも、応援するのはキャラを操作する「選手」です。

やはり機械よりも人を応援したくなると思うし、その人の経歴や活動を追うことで更に応援したいという気持ちが強くなります。

しかし「無くならない」からと言って、かつての花形職業のようにプロゲーマーを目指すべきだとは言えないでしょう。

現在VALORANTで圧倒的な人気と実力を誇る「ZETA DIVISION」のメンバーである元Absoluteのメンバーは、以前の活動タイトルであったCS:GO時代に今では想像も出来ないような苦労を乗り越えてきました。

CS:GOは今年でリリース9周年を迎え、今なおEUやNAを中心とした地域でトップクラスの人気を誇るタイトルです。

そんなタイトルで競技活動を必死に続け、世界4位という成績を残した経歴があるものの、当時日本でのeスポーツの注目度が低かったことやタイトル人気が関係し、現在のような恵まれた環境での競技生活はままなりませんでした。

現在のMildomのように一定量の給料をもらいながら配信活動を続けられるサイトも当時はありませんでした。

そんな過酷な状況でも、世界で戦える実力を保ち続けるために無給の状態でフルタイムの活動を長く続けていたと、19年以上eスポーツメディア「Negitaku.org」を運営するYossy氏は語っています。

参考:「Logicool G Presents | Player Profile - Laz // Absolute JUPITER

タイトルの変更とVALORANTシーンの成功が重なり、今ではトップクラスの人気を誇る彼らでさえも、長く辛い時期を過ごしていました。

安定がないこの時代で、やりたいことを仕事にするべき?

もしも人工知能という脅威がなく、感染症にも怯えなくて良い社会が続いていれば、やりたいことを我慢してまでも勉強を頑張り、目指せるだけの大学に入学するべきだったかもしれません。

しかしながら、そこまでしても安定や高い給料を得られないのであれば、また選択肢は変ってくるのではないでしょうか。

もし“なれる”のであれば、誰だって自分のやってみたい仕事をしたいでしょう。

ただその難しさを目の当たりにして、現実味のある職業を選択する若者が多いことが現状です。

今年2021年7月に公開されたソニー生命保険株式会社による「中高生が思い描く将来についての意識調査」では、小・中学生のなりたい職業の多くにいわゆる一般的な会社員ではない職業が多くランクインしているように見受けられます。

参考:「中高生が思い描く将来についての意識調査2021

しかし、歳を重ねるにつれて現実的な職業に就きたいと考える若者は増えており、特に女性の場合であれば、小・中学生から高校生にかけて現実的な職業が多くランクインしているように思います。

プロゲーマーという職業は、現実的な仕事とは言えないでしょう。

ゲームを仕事に出来て幸せだという考えを持っている人もいるでしょうが、多くの選手は毎日10時間以上もの練習を重ねながら休みなく練習を続けています。

多くの人が勘違いしていることなのですが、トップ選手でもゲームの大会に勝つことに集中して競技活動を行える選手は少なく、配信や動画投稿などの活動を積極的に行うことで、やっと生きていけるという選手がほとんどです。

更にそれだけではなく、選手としてトップを取り続けなければファンは応援しようという気持ちにはならないし、配信活動ばかり精力的に行っても、大会で成績を残し注目されるチャンスを得られなければ配信活動で継続的に収益を得ることは期待できません。

どちらも頑張らなければ、プロゲーマーとして生きていくのは難しいでしょう。

しかし私は、この一見辛く不安定に見えるプロゲーマーのようなビジネスモデルの中に、これからの社会を生きる全ての若者に求められるスキルがあると考えているのです。

安定の時代から、挑戦の時代へ。

何度も述べたように、お父さんお母さん世代やもう少し前の時代は、良い学校に進学して良い企業に務め「安定」を得るために人々が努力する時代であったように思えます。

現在もまだ、安定を求める生き方が正しいとする考えは残っているでしょう。

しかし私は、好きなことを我慢してまでも安定を求める生き方をすることに賛成は出来ません。

その結果職を失ってしまったら、自分の人生が誰のものであったか分からなくなってしまうと思うからです。

職が無くなるにしても、自分のやりたいことを選択して、その結果お金を稼げなくなってしまったとしても後悔は何も残らないと私は考えます。

やりたくないことを必死に続けて就職するよりも、やりたいことで生きていくために努力する方が何倍も”アリ”だと思います。

しかしながら、勉強しても意味がないからという理由を付けて、学生のころからプロゲーマーになるためにゲームだけを頑張るということも賛成できません。

あくまでも今現在の話ですが、プロゲーマーになろうと一本に絞ってゲームだけをしてプロゲーマーになった人はほとんどいません。多くの場合は別のことで収入を得ながらプロを目指し、素質を持った人間がチームや選手から誘われてそのキャリアをスタートさせています。

全てを捨てて、始めから1つのチャンスに賭けるというのはあまりにも無謀なことでしょう。

ではどうすれば良いのかという話になりますが、私は「やりたいことでお金を稼ぐ力」をこれからの時代は身につけるべきだと考えます。

やはり好きなことだけで生きていくというのは難しいですが、「それだけで生きていかなければいけない」というルールはありません。

実際、副業OKの企業もこのコロナ禍で増えています。

一生続けられる仕事はないだろうし、勉強を頑張っても、プロゲーマーになるためにゲームを頑張っても、報われないことはきっとあります。

生きられる保障がないまま、生きていくのはとても怖いです。

ただ考え方を変えてみれば、様々な仕事にチャレンジ出来る可能性を私たちは持っています。

やりたいことは、きっと1つだけではないでしょう。

海外で仕事をしてみたかったり、動画を投稿してみたかったり、ゲームで競技シーンに挑戦してみたかったり。

たくさんのやりたいことがあるはずです。

いざ挑戦してみようと思うと、英語を勉強しなければいけなかったり、編集技術を学ぶ必要があったり、人とのコミュニケーションのために学校へ通うことの重要性に気付くでしょう。

やりたいことを仕事にしようと思えば、やらなければいけないことに気が付きます。

そこで培ったスキルは、やりたいことでお金を稼げなかったとしても必ず自分の力になります。

今ではeスポーツという言葉を知っていない人の方が少ない世の中になりましたが、まだまだプロゲーマーという職業は未開拓であり、多くの人たちがゲームで生きていくために様々なことに日々挑戦しています。

配信だけでなく、執筆活動やチームのスポンサーである専門学校でゲームの授業を行う講師としての活動をしている選手だっています。

そこで得た知識と経験は自身のキャリアを支えてくれるでしょうし、もしプロゲーマーとして生活できなくなっても全てが無駄になるということはありません。

今後新しい挑戦をするプロゲーマーが生まれてくるでしょうし、そんな挑戦を出来るプロゲーマーだけがゲームで生きていけるのです。

ただでさえ不安定な時代だからこそ、好きなことで生きるプロゲーマーから学べることがあるのではないでしょうか。

どれだけ小さな額でも、好きなことでお金を稼げたら、きっと幸せに感じるはずです。

やりたくない仕事をするのではなく、やりたい仕事でお金を稼いで生きていく。

そんな時代になると思うし、そんな時代になってほしいと私は思います。

【執筆者】

よろず
eスポーツに関するコラムをnoteにて執筆中。noteのフォロワー数は6800人以上、累計150000PVの実績をもつ。
https://note.com/yoro2u

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